その後の食卓

アニメとかアニソンとかその他 ひとり酒

『アニマエール』からは、良い風しか吹いていない。

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つくづく、頑張る女の子の作品が好きだ。
アイドルもののアニメは必ずチェックしてしまうし、PA作品で良くある職業ものも好きだ。
彼女たちが頑張る姿に心打たれて、自分も頑張らなきゃなあ、と、焼酎を仰ぎながら浸ってしまう毎日。
大げさかもしれないが、カンフル剤みたいなものだと、認識する。
子供の頃は、ヒーローたちに正義のあり方を教えてもらったように、今は美少女キャラに社会を教えてもらっている、という訳だ。
心が幼いからだと罵られるかも知れないが、基本的に、誰かが出来ていることしか実行しない駄目な人間だ。だから、常にお手本が必要なのだ。
情けない話だが、それで今を割りと過ごせているから、放っておいて欲しい。

前置きから『アニマエール』も例に漏れず、頑張る女の子ものだ。だが、そこに落ち着く前に、題材がチアリーディングの点に注目したい。
何の話しかというと、頑張るだけの話ではないというか。
作品の少女たちは確かに頑張っているのだが、頑張っている人たちを応援する立場にいる。
頑張って、頑張る人たちにエールを送っている。
つまり、励まし系頑張るものなのだ。

もう表現が滅茶苦茶だが、気にせず進めよう。
勿論、チアは競技的な内容も含まれるスポーツだし、作中でも技術的なアプローチが描写される。
だが、登場人物の精神面からも献身的な場面が多い。だから、受け取り方は間違っていないと思う。
頑張る女の子の作品に力を貰うと初めに話したが、こればかりは恥ずかしがらずに貰っとけという話だ、元気を。

主人公の鳩谷こはねさんは、自己犠牲も厭わないレベルで親切な女の子だ。そんな女の子がチアと出会い、その世界に入っていく。チア部がない環境でひとり、メンバーを集めて、形を作っていく。
説明するのを省いてしまったが、これはストーリー4コマ漫画だ。制限されたコマと頁の中で、このジャンルでは珍しく、じっくりと過程を描く。着実に進んでいるのだが、人によっては遅いと感じるかもしれない。ただ、分かる人には分かって貰えると思うが、どの作品に於いてもメンバーを集める過程は、面白い。むしろ、そこを面白く描けるか否かで、作品の方向性が決まってしまうと考える。
この作品はその過程が凄く面白い。加えて、凄く爽やかだ。そして、その流れの中心で魅力的に輝くのは、いつだって主人公の鳩谷こはねさんだ。主人公が一番輝く作品は、いつだって強い。

とにかく、鳩谷こはねさんには迷いがない。人助けという行為をインプリンティングしているから、基本的に他人のことばかり考える娘だが、行動を起こすことに対して躊躇いがない。たとえ、その行動が彼女にとって不得意なものであっても、実現するために必要なことであれば、諦めることを選ばない。危うささえ垣間見る彼女の行動に対し、頑張っていない、とは口が裂けても言えない。むしろ頑張りすぎている。
「チアをやりたい」という、自分の願いからチアリーディングを始めながら、誰かの背中を押しては巻き込んでしまう。そうして彼女の周りに役者が揃っていく具合が、本当に鮮やかに映し出される。

そんな主人公に対し、他のメンバーとなる登場人物たちは、必ず迷いを抱えている。皆、素晴らしい魅力を備えながら、歩むことを止めた娘たちばかりだ。
そんな少女たちを、鳩谷こはねさんはチアしていく。チアの基礎が出来ていなくても、不格好でも、がむしゃらに。
応援されているのは作中の人物たちだが、僕らの心にも何か一押しくれる。彼女のエネルギーは、読んだ者にしか分からない。彼女たちの想いを通じて彼女に触れるとき、最も素晴らしい感動を与えてくれる。これは、そういう作品だと確信する。

再三繰り返すが、凄く爽やかな作品だ。読後感が清々しく、気持ち良い。そっと風が吹き抜ける錯覚をするが、それはこの作品から流れたものに他ならない。
その、ぶわっと風が来る感覚を、これから味わう人は幸せでならない。

あと、主観のため、こはねさん大好き記事になってしまったが、他の皆も可愛らしく魅力的なので、隙はないことを付け加えておく。